〜 ものづくり企業 × ものづくりを学ぶ学生 〜
 
 

2010年2月下旬に全国の書店に並んだスポーツ自転車の月刊誌 『 サイクル・スポーツ 3月号』 に掲載された 『 2010ハンドメイドバイシクルフェア紹介記事 』 を見た 地元の国立米子高専の自転車同好会のみなさんから当社に 『 ステンレスフレーム車を見せてほしい 』 という連絡がありました。

そこから自然な流れで、『 単に自転車を見せてお終いではなく、学生の方々から、"もっとこうしたら良いのでは? こんなアイデアを盛り込んでみては?" という提案をもらいたい 』 と お願いすることになりました。
あいにくの雨天のため試乗はおこなわずに会議室で開催した交流会には、米子高専の兼子准教授や、地元で自転車にまつわるファッショングッズや雑貨を販売している商店主の方も参加してくださいました。
 『 産学連携 』  『 商工連携 』  『 多世代交流 』  『 異業種交流 』  などと捉えることができます。
ちかごろ 『 産学連携 』 『 協 働 』 『 異業種交流 』 などという言葉をしばしば耳目にします。多くは行政の産業振興部局のみなさんなどが音頭を取って産学から参加者を募り、開催されているようです※1
。 
そうした戦略的で大々的な "産学連携事業" に較べると小規模・こじんまり と自然発生したこの会ですが、"自転車好き同士" の集まりですので、議論は活発でした。
 

 
自転車を買う「顧客」となる人たちという意味だけでなく、
   「ものづくりを学ぶ学生さんたち」、
   「自転車関連ファッション雑貨販売店の経営者」、
   「国立米子高専 准教授 兼子先生 」

など自転車というモノを多面的に捉える立場の方々と、創 造的なブレインストーミングができ、大変参考になりました。頂く意見を全て取り入れるわけではありませんが、自由な視点からの声を取捨選択/醸成し開発に活かしたいと考えています。会場では事前にマインドマップ法KJ法などの知的生産ツ-ルを用意していましたが実際には自由なブレインスト-ミングとなりました※2,※3。 それが奏功したと感じます。

次回作の自転車フレームは今後、      企画→ 概略設計→ イメージ図作成 → 設計改良 →製作 という流れで完成度の向上を目指します。
今後は3案程度の出展車(完成予想)イメージ図を作成して高専兼子先生の研究室に見ていただき、
どの案のデザインがよいかどう直すべきかなどについて提案を頂くことになると思います。
そして最終案を決定し、実施設計・製作に移る予定です。若く自由な視点からの声をぜひ開発に活かしたいと考えています※4。

 

 

 
 

[ 受け取った意見の反映方法は、直訳・意訳・翻訳 ]
1) 受け取った意見をそのまま全部盛り込むとまとまりがなく使いにくい駄目な自転車となります。それが直訳
2) 意見を聞いた振りをしつつ、デザイナがずっと溜め込んできてやりたかったアイデアをこの際ぜひ現実のもの
  としたいという個人的なエゴで押し込むのが意訳
3) 受け取った多くの意見の背景にあるエッセンスを抽出して、直接それを要求されてはいなかったが提案者た
  ちが 『 なるほど この案でも素敵じゃないか! 』 と納得する、新しい案に昇華するのが翻訳
 
[ 参加学生の一部が卒業するため 急ぎデザイン修正案を提示 ]

意見交換に参加してくれた学生さんの一部は、意見交換会後半月で卒業し米子を離れます。当社としては、その前に 『 自分たち学生の意見が反映されると自転車の意匠はなるほどこう変わるのか 』 と成果を体感して頂きたい。学生さんたちが投げてくれたボールをとりあえず投げ返したい。そこで急ぎ習作の変更デザイン案を作成し、卒業式ギリギリに渡しました。
学生さんたちから受け取った提案のうち、
 @現行デザインの後輪軸受け金具に見られるような目を引くデザインを各所に盛り込んではどうか。
 A友森工業の 「パイプ曲げ」や 「板の切抜き」や 「金属部品精密削り出し」 等の技術を色々と盛り込むべき。
 B各社の自転車はロゴのステッカーをはがしたシルエットは似ている。20m離れて見てシルエットで区別で
   きる強い個性を与えてはどうか。

などを盛り込んだ変更検討案の1つを以下に示します。上述した、直訳・意訳・翻訳の区別では、直訳に近い意匠案です。このデザインで決定したということではありません。デザインスタディの1つです。また色彩は3D設計ソフトウエアにおけるモデリング部材区別用の着色であり、製品のカラーリング案ではありません。

 

 
 
 

 

[ 2輪車のデザインスタディ事例 ]

 

◆ 2010年8月。ふたたび交流会を開催しました ◆
 

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