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若者のクルマ離れ )
最近の若い人々は「離れ」の世代で、若者のクルマ離れ・映画館離れ・新聞離れ・恋愛離れなどが起こっているそうです。携帯電話の新機種は知っていても、クルマのニューモデルなどにはまったく関心がない。
友森工業には自動車に関心が高い社員がいます。自然吸気の高回転型エンジンが好きでM3とか、開発主査の理念に共感してNA8とか、ギリシャ人デザイナのファンだからとR2とか。そのうちの一人はNA8を通勤には使わないし雨の日や雪の日にも乗らないという男ですが、自動車に関する月刊誌で新型車の開発情報やスクープや販売動向などを熱心に追っています。その何が面白いのかと訊ねると、こんな風に答えました。 |
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なぜクルマに興味があるか? 恐竜が好きだからさ )
『僕は自然科学ファンで、フェルマーの定理が解かれたニュースとか、素数ゼミの話題とか、宇宙論のダークマターとか、サイモンシンの「暗号解読」とか、バージェス頁岩の「ワンダフルライフ」とか、生物の進化に関する「眼の誕生」とか、恐竜の繁栄と絶滅とか、そういう物語が大好きなんだ。SF映画などでは科学者が合理主義で冷たい人物として描かれたりするけど、おかしな話だと思うよ。科学者って
「これは何故なのだろう?どうしてこうなるのだろう?」 という子供のような好奇心に突き動かされている人々だから。(
子供のエジソンは "なぜなに坊や" と呼ばれたそうだよ )
■枝分かれしていく進化樹の図は見たことがあるかな。恐竜は陸や海や空でバラエティに富んださまざまなタイプに分岐して繁栄したり絶滅したりした。
分岐した枝は太くなるもの、途中で絶滅して途切れるもの、細く長く伸びるもの、などいろいろだ。結局は環境が激変して恐竜の樹はほぼ枯死絶滅し、 現代は鳥類がその直系の子孫なのだけど、その栄枯盛衰を示す図鑑を眺めていると時間を忘れるくらい面白いなあ、と思うんだ
』
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脱線・蛇足だけど )
『 ちなみに僕が子供の頃の恐竜図鑑はT-rexはゴジラのように姿勢良く立って尻尾を引きずって歩いている絵であったけれど、足跡化石に尻尾の跡が無いことやコンピュータ解析の進歩から、現代は脚を支えに上半身と太い尻尾がシーソーのように水平に伸びてバランスした、そういう歩行姿勢で描かれているよ。ジュラシックパークの恐竜もそんな歩き方だったね。僕はジュラシックパーク1を映画館ではじめて見たとき、「白亜紀の恐竜はどんな風に闊歩していたのだろう」と長年夢想してきた風景がCGによってあたかも現実のように見せてもらえた喜びから、感動の余り涙が出てきたよ。映画館で、恐竜の歩く姿を見ながら、しきりに鼻をすすり上げて涙をゴシゴシふく男。周りの観客はチラチラ振り返ったりしてたけど、主演のグラント博士の表情も明らかに「感動」を表現していたし、恐竜ファンなら分かるはずさ。後年、科学雑誌Newtonの編集長だった竹内均さんが、亡くなる前のインタビューで「ジュラシックパークを見たときに涙が出てきた」と述べておられるのを読んだときには、「同じく!」
と膝を叩いたものだ。 あれは、泣ける映画だった・・・そういえば原作者のマイケルクライトン氏も亡くなったな・・
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スポーツは代替戦争、クルマは代替の進化観察 )
『 生物の進化ってとても面白い。学生の頃、獲得形質は遺伝しないと習った僕たちだけど、福岡伸一さんの「動的平衡」や『眼の進化』などを読むと、進化の原動力が方向性の無い偶然の事故的な突然変異だけ、とはいえないのかも知れないな、と最近の学説に興味津々になる。ま、でもそれらは「膨大な過去の話」だ。生物は現在も変わりつつあるけど、変化が余りにゆっくりだから今の生物が進化している様子を観察しようとして眺めていてもあまり面白くない。
■さて 「スポーツは、平和な時にヒトの闘争欲求を満足させるために生まれた、ルールのある代替戦争だ」と聞いたことがある。僕がクルマの新型車開発やスクープのニュースを好きなのは、恐竜が何万年をかけた進化樹と同種のダイナミックな物語が、そこにあるからなんだ。20年ほど前にはパジェロなど四駆が大流行した時代があった。レガシイなどステーションワゴンが馬鹿売れした時代がきて、ファミリーカーやワンボックス車しか売れない時代がきた。SmartやIQのような超ミニCarが現れたが
"枯れる枝" っぽい。
いまは環境が後押ししてエコカーの時代だ。世界を眺めるとエコカーブームの一方で、500馬力超の高価な新型車も続々と発売されている。恐竜が哺乳類に駆逐されたのと同様に、いつかは電気モーターにその座を奪われるだろうガ |
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ソリンエンジンの「終わりの始まり」が見て取れる。僕にとってクルマの話題は「
変化にかかる時間を早送りに圧縮した、生物進化と絶滅の壮大な物語の、代替シミュレーション 」なんだよね。 しかも、だ。 生物進化についてナショナリズムは刺激されないけど、クルマには生産国があるから、スポーツのように「国別代替戦争」の感覚がさらにプラスされている。興味深くないはずが無いじゃないか。だから僕はクルマに関する月刊誌をせっせと買い込むのさ。
恐竜を飼っていなくても恐竜について知りたいように、たとえクルマに乗っておらず電車生活をしていたとしても、クルマの情報は集めるだろうな、僕は
』
■( 君たちに明日はない3 )
『 まあ僕がNA8を大事にしているのは垣根涼介さんの書籍 「君たちに明日はない3」
に出てくる為替ディーラーと同じ、ロクデナシだからだけどね 』 |
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